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活動事例

ACTIVITY

2025/12/19 生涯学習課NEWSLETTER No.20(一般社団法人ヒトトキト)

子どもたちの「自分らしさ」が花開く場所  ~ 一般社団法人ヒトトキト ~

矢吹駅西口すぐ近くにある「self spaceしおりば」

 

 子どもや若者たちが自分らしく成長できる場を地域で生み出し、運営する「一般社団法人ヒトトキト」。

 活動を通じて目指す社会や、具体的な事業内容と生涯学習の観点から見た意義、地域との関わりと事業継続の課題、そして、今後の展望について、飯塚智崇(いいづか ともたか)代表理事にお話を伺いました。

飯塚智崇(いいづか ともたか)代表理事

 

■設立の背景と目指す「ハビタブルゾーン」

 地域おこし協力隊としての活動を始めた飯塚氏は、その中で「子どもたちと継続的に関わり続けることができる場」の必要性を痛感し、令和4年5月に一般社団法人ヒトトキトを設立しました。
 団体名「ヒトトキト」には、「人」と「木(自然)」、そしてその間の「ひととき」や「と(いろいろ)」といった複数の意味が込められています。人と自然が調和し、だれもが幸福を追求できる社会、すなわち「ハビタブルゾーン」(生存可能領域)の実現を目指しています。
 活動の中心に子どもを置くのは、飯塚氏自身の子ども時代の経験からくる課題意識が根底にあります。子どもたちの「こうしてもらいたかった」という思いに共感し、飯塚氏にとって「自分事」となった課題を解決する場を作りたいという思いで活動を推進しています。

2階にあるBOOK&CAFE

 

■生涯学習の視点から見た多様な事業

 ヒトトキトでは、子どもたちの非認知能力と「生きる力」を育むための多様な事業を展開しています。これらの事業は、単なる知識の伝達に留まらず、子どもたち一人ひとりが持つ内発的な学びを引き出し、社会の中で自立して生きていく力を育む重要な生涯学習の機会となっています。
 

①こかげの学校
 冒険ひろばを中心としたプレイパークで、自然体験や交流の場としての機能を持っています。「やぶこぎキャンプ」という日帰り・宿泊体験を実施しており、非認知能力(意欲、協調性、忍耐力など)の育成やVUCA(ブーカ、予測困難で不安定な)時代を生き抜く適応力と探求心を養う場所です。「こかげの学校農園」では、家族も参加し食育と世代間交流の促進を行っています。

②self space しおりば/しおりば塾
 コミュニティスペースであり、話を聞いてくれる場です。学習支援に留まらず、進学後や大人になっても関わりが続く気軽な相談場所としての機能を持ち、子どもたちが安心できる居場所づくりと自己肯定感の醸成を目的としています。

③放課後スペース/わかばサポート
 挑戦に対する支援、困り感を抱えた子どもへの個別サポートの役割を担います。線引きや定義が難しい困り感に寄り添い、既存の枠組みでは対応しきれない子どもたちを支援し、多様性を認め合うコミュニティづくりを進めています。

自由にお絵描きや工作ができる冒険ひろば

 

■地域との関わりと事業継続の課題

 それぞれの活動場所では、地域住民と子どもたちの間でコーヒーなどを飲みながら自然な会話が生まれており、緩やかな交流の場が生まれています。特に人見知りの子どもでも、この場であれば自然にコミュニケーションが取れる様子が見られています。
 一方で、活動継続には、大きくはリソース不足と居場所の不足の2つの課題があります。「共助は善意」という側面から、金銭面やマンパワーが不足し、すべての子どもたちを支援しきれない現状があります。また、ヒトトキト以外の、子どもや若者が安心して過ごせる居場所やコミュニティが不足しており、地域全体に充足されていくことが望まれます。


駅や町中にも展開している「まちライブラリー」

 

■今後の展望

 飯塚氏は、自分自身の人生のステージが上がるにつれて「自分事化していく課題」が新たに出てくると、今後を見据えています。
 「そうしたステージに応じた新たなハビタブルゾーンを形成するような仕組みを作っていくことが私たちの役割だと考えています。生きづらさを解消するような、言いたいことが言えるコミュニティ形成を続けていきたい。」
 ヒトトキトの取り組みは、目の前の子どもたちを支えるだけでなく、誰もが自分らしくいられる「ハビタブルゾーン」を地域に広げ、生涯にわたる学びと成長を支える基盤づくりとして、大きな可能性を秘めています。一般社団法人ヒトトキトの活動に、今後もご注目ください。

ヒトトキトのミッション・行動規範とこども若者のセーフガーディング